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哲学の使い方を学ぼう ~武器になる哲学 山口周(著)~

紹介書籍情報

武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50

山口周(著)

単行本: 368ページ
出版社: KADOKAWA (2018/5/18)

Kindle Unlimited対象

内容紹介

実生活ではなかなか役立てることが難しい学問、
「哲学」。

この「哲学」が実生活でどのように役立つのかをまとめた本です。

50の哲学・思想のコンセプトがまとまっています。

哲学を学ぶメリット・意味

この本で述べられていた
哲学を学ぶことによるメリット・意味をまとめていこうと思います。
(ほぼ自分の頭の中の整理のためなので、実際の本を読むことをお勧めします。)

この本には、著者自身の経験にもとづいた
功利的側面からの哲学・思想を学ぶメリット・意味が挙げられています。

そのメリット・意味は以下の4点。

1.状況を正確に洞察する
2.批判的思考のツボを学ぶ
3.アジェンダ(課題)を定める
4.二度と悲劇を起こさないために

上記を読んだだけだとわかりにくいと思うのでもう少し詳しく説明します。

1について

過去の哲学者が提案した様々な嗜好の枠組みやコンセプトは、
目の前で起きていることに当てはめることにより、
それがどのような運動なのか、これから何が起こるのかをより深く理解するのに役立ちます。

2について

批判的思考は何に役立つのかというと、それは「変化を生み出すこと」です。

「変化」は、
これまでの考え方・動き方を批判的に捉え、改めるべきところは否定し終わらせ、新たな考え方・動き方を取り入れる
というプロセスで行われます。

哲学の歴史は、
それまでに世の中で言われてきたことに対する批判的考察の歴史を言うことができます。

よって、対象とする問題は違いますが、
哲学を学べば「自分たちの判断や行動の前提となってしまっていること」に対して、
意識的に批判・考察してみる知的態度や切り口を得ることができ、
「変化を生み出すこと」の一助とすることができます。

3について

「課題を定める」と聞いてもなんのことやらさっぱりかと思いますが、
下記のように著者は述べています。

「課題を定める」ことがイノベーションの起点になる

「課題を定める」ためには「課題設定能力」が必要

「課題設定能力」を高める鍵となるのが「教養」

「教養」のために哲学を学ぶ意味がある

なぜ「課題を定める」ことがイノベーションの起点になるのか?

著者は、前著「世界で最もイノベーティブな組織の作り方」を執筆した際、
イノベーターと社会から認められている人々にインタビューを行ったそうです。

イノベーターは「イノベーションを起こしてやろう」とは思っておらず、
解決したい課題があり仕事をしているのだそう。

そのことから、
イノベーションを起こすためには「アイディア」や「創造性」が必要なのではなく、
課題が必要」と。

課題を定めることがイノベーションの起点になるわけですね。

「教養」がどのように「課題設定能力」に寄与するのか?

「課題設定能力」は課題を見つけ出す能力です。

慣れ親しんだ現実から課題を見つけるためには「常識を相対化」することが不可欠です。
相対化することで、「いま、ここでだけ通用している常識」を認識し、疑い、課題へとつなげていくわけです。

ものごとを相対化するためには「教養=時空軸・時間軸での知識の広がり」が必要となります。

(例えば、日本の文化を相対化するためには他国の文化・風習を知っていなければいけませんよね。)

よって、
「教養」が「課題設定能力」を高める要素のひとつになると。

4について

哲学者はその時代の悲劇を目にするたびに、
二度と同じ過ちを犯さないためにはどうすべきかを考え、話し、書いてきました。

哲学には先人の教訓が詰まっています。
生かさない手はないですね。

この本の特徴

この本には類書と異なる特徴があります。
それは次の3点です。

1.目次に時間軸を用いていない
2.個人的な有用性に基づいている
3.哲学以外の領域もカバーしている

2と3については説明不要かと。そのままです。

1についてはもう少し詳しく書きます。

ほとんどの哲学入門書は時系列にそって、思想・哲学が紹介されることが多いです。
すると、
最初の段階の思想・哲学である古代ギリシア哲学はツマラナイため脱落者が多いのだそう。

本書は著者が役に立ったと思った哲学者のコンセプトを
4つの「使用用途別」に分類し紹介しているため、
退屈に感じることなく読み進めることができます。

コンセプトを4つの使用用途別に分類すると以下になります。

1.人についてのキーコンセプト
2.組織についてのキーコンセプト
3.社会についてのキーコンセプト
4.思考についてのキーコンセプト

それぞれのキーコンセプトは以下のような洞察を与えてくれます。

1.人についてのキーコンセプト
他者や自分の思考様式や行動様式について、より深い洞察を与えてくれる。
2.組織についてのキーコンセプト
人が集団になるとどのような振る舞いをするのか、より深く理解するのに役立つ洞察を与えてくれる。
3.社会についてのキーコンセプト
社会の成り立ちやそのメガにズムについて、より深く理解するのに役立つ洞察を与えてくれる。
4.思考についてのキーコンセプト
モノゴトを深く、鋭く考えるための突破口を与えてくれる。

読んでみて。感想等々

もともと私は哲学が好きなので、
時系列で読むと脱落してしまう人が多いという認識はなかったですね。

今まで時系列で紹介されていた哲学書を読んでみて、
哲学学習から脱落してしまった人には良い本かもしれないです。

私的には4つの使用用途別、それぞれにおいて役立つ哲学・思想が分類されているのが面白く、感心しました。

本書は哲学自体を学ぶというより、学んだ哲学がどう役立つかをまとめているので、
実用書・ビジネス書の側面が強いと思います。

新しいタイプの哲学入門書ですね。

あくまで「入門書」なので、
純粋に哲学を深く掘り下げたい人にはボリュームが少なく不向きかと。

加えて、
この本は著者自信が役に立ったと思った哲学・思想のコンセプトをまとめたものなので、
より自分に適した武器を手にしたいならば、本書をきっかけに掘り下げが必要かと思いました。

いろいろと書いてきましたが、
私的にこの「武器になる哲学」は良書かと思います。

気になった人は是非ご一読を。

この本を読んで、哲学の沼にはまってゆきましょう!

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