紹介書籍情報
過ぎ去りし王国の城 角川文庫
著者:宮部 みゆき
文庫: 384ページ
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内容紹介
主人公は中学三年生男子の尾垣真。
彼が中世ヨーロッパ古城のデッサンを拾うことからストーリーは始まる。
デッサンに不思議な魅力を感じ、拾った尾垣。
魅力にとりつかれるよう、デッサンを眺めていた尾垣はそれに不思議な力があることを発見する。
デッサンに自身の分身を書き込むことにより絵の中に入ることができるのだ…
著者紹介
あえて私が書くまでもないと思いますが、一応。
ミステリーからファンタジー、時代物まで手がける女性作家。
著書多数。
受賞歴:直木賞、山本周五郎賞など多数。
読んでみて。感想等々
主人公の尾垣真が絵の中を舞台に活躍する冒険活劇なのかな、
なんて思いながら読んでいたんですけど、違いました。
完全に裏切られましたね!(良い意味で)
作品の情報を一切知らずに読んだのですが、
「まさか、そっちの方向にいくとは!」と意表をつかれました。
これから読む方々のために、「方向」というワードに関して
詳しくは書きませんが「流石、宮部先生だな」と思いました。
この作品は現実世界の延長にファンタジーがあるといった感じでしょうか。
現実世界がなかなか辛いと言いますか、厳しいと言いますか…
「悩みのない人なんていない」と表現したらいいですかね。
そんな現実世界の人々が主要登場人物です。
登場人物たちは「普通の」人々です。
特殊能力とかもっていないですし、強烈なキャラクター性を持っているわけでもありません。
なのでキャラクターのたった小説や漫画を好む方には、
物足りなさを感じるかもしれません。
ですが、
現実味のある人々なので感情移入しやすかったり、
思考がすんなり受け入れられたり、共感できたりするかもしれないですね。
ストーリーは、残りページあとわずかというところで「えっ!?」という方向に向かってゆきます。
「この残りページ数で終わるの!?」と読んでいるときに心配しましたが、見事完結しております!
興味を持たれた方は安心してお読みください(笑)
宮部みゆき先生の構成力に感嘆しました!
ファンタジーが苦手なひとにも読んで欲しい。
ファンタジーという括りでは表現しきれない作品です!
読書の補助に。主要登場人物紹介
- 尾垣真(おがき しん):この物語の主人公
- 城田珠美(しろた たまみ):主人公と同学年で隣のクラスの女子。成績優秀だが変わり者。他の女子から嫌われている。
- 佐々野一郎(ささの いちろう):有名漫画家のアシスタント。47歳。通称「パクさん」